このブログを検索

2015年3月20日金曜日

英語なんて、ちょろいぜ <その2>

英語なんて、ちょろいぜ! <その2>
~ そうは言っても英語をしゃべれるようになる必要はないのか? ~

【前回のあらすじ】
・英会話、英会話と騒いだり焦ったりする必要はまったくない。
・英語をしゃべるより前にやるべきなのは、世界の常識である「相手とコミュニケーションを交わす習慣」を身に着けることであり、これを日本人同士、日本語でできるようになることが先決。たとえば、授業中や研修などで、みんなの前で質問することをごく普通にできているか? これが日本語でできないうちに、英会話を習得しても、結局しゃべらない習慣は治らない。
・外国人にも日本語で話しかけることをお奨めする。

 さて、とにかく日本語の会話力を磨きましょうと申しました。日本人にも(日本語のわからない)外国人にも、まづ日本語でしゃべって行こうという提案です。
 でも、世の中が余りにも「英語」「英語」と騒いでいますから、心配になる人がいると思います。「そんなこと言っても、本当に英語をしゃべるようになれなくて、いいの?」と。

そういうタイプの人には、理屈で言っても効果が薄いので、感情に訴えてみます。

 TOEFL(外国語としての英語の国際共通検定試験)国別平均得点(アジア)
資料:2006年ETC(主催団体)発表

 1位 シンガポール
 2位 フィリピン
 2位 パキスタン
 4位 インド
 5位 スリランカ
 9位 韓国
 13位 中国
 17位 ベトナム
 18位 カンボジア
 24位 北朝鮮
 25位 日本
 26位 アフガニスタン

はい、このデータです。
 「ウヘ! またか。。。もう見飽きたし、聞き飽きたよ」と言われそうですが、言いたいことがちょっと違いますから、聞いてください。
 日本は、なぜこうなんでしょうか? この原因をわかっていない人が大半です。マスコミや、いわゆる「有識者」やテレビで自分の専門外のことにもっともらしい「解説」をするコメンテーターなど、いろんな人々が間違った認識を持っていますから、皆さんは騙されてはいけません。
 日本人が、英語力においてアジアで最下位同然のブービー(その下はタリバンで大混乱したアフガニスタンだけ)という状況なのは、何ででしょうか?
 思いつきそうな大抵の答えは、全部間違いです。
 「英語の教育が文法中心だから」「英会話を軽視しているから」「英語の教師が英語をしゃべれないから」「中学校で初めて英語教育を開始するのが遅すぎるから」「大学の授業を日本語でやっているから」「外国人を雇用していないから」等々・・・
 はい、これらは、全部間違いです。断言します。

 正解は、「必要ないから」です。
 毎日の生活で英語が要りません。それは当然ですが、実はその先が重要です。色々な学術や芸術などを学ぼうとした際にも、全部日本語で事足りるからです。実は、これは凄い事なのです。高度な学術を一般の市民が自由に母国語で学べるのは、英語・フランス語・ドイツ語・日本語を母国語として、かつ、学問の自由があって書籍が安価に広く流通し教育機関が整備された国と地域に限定されたことなのです。
 で、我が日本語は、この中に堂々と入っているのです。そして、中国語は入りません。
それは、中国語に翻訳されている学術書・芸術文献などが日本語よりも格段に少ないからです。ちなみに脱線しますが、「共産主義」を初めとして、いま中国で中国人が使っている近代用語の大半は、日本人が欧州語から翻訳した日本製の漢語です。主なものだけでも挙げきれませんが、服従・支持・分配・克服・支配・配給・哲学・心理学・論理学・経済学・財政・物理・衛生・病理学・土木・電気通信・簿記・半導体・温暖化などなどキリがありません。
 アジア諸国の学生さんたちは、どんな分野であれ学問を学ぼうとしたら、最初に英語を学ぶしかないのです。自国語の教科書がない。だから、英語の点数が高いのです。高くならざるを得ないのです。日本人は、ノーベル賞を取った世界的大学者ですら、受賞の記者会見で「英語は不得意でして」などと公言できるほど、何でも日本語で間に合ってしまいます。要するに、普通の人ならば何をするにも英語は不要、日本語だけで十分なのです。
 ここが、他の発展途上国との違いです。

 なので、「英語ができない」ことを弱みに思う必要はありません。それどころか、世界でも稀な近代言語を母国語として生まれてきたことを、大いに誇りに思ってよいのです。
 そして、このように世界の欧米先進国の中でも稀有な、「すべてが母国語で先端科学を学ぶことが出来る」という状況を作ったのは、「文法中心の外国語教育」にあったのです。会話中心では、このように諸科学の文献を非常に短い期間で全部翻訳するということは不可能だったし、それをまた一般学生が読みこなすことも出来ず、国家全体の学術レベルは現在想像できるほどには向上していなかったものと推定できます。
 そういうことですから、日本人は英語ができないことを何ら恥じることなく、それどころか、英語を話さざるを得ない言語小国の国民に気後れを感じる必要など微塵もないことを肝に銘じて堂々としていることを訴えたいと思います。

 それでも、百歩譲ってそれでもなお、英語を何とか話したいということもあるでしょう。
特に、当社はワインの輸入を中心業務として行っていますから、こうした業務には外国語が不可欠です。この際に必要な英語はどのようにしたら身につくのでしょうか。
 それは簡単です。中学校の英語を教科書で徹底的に復習することです。何も難しいことはいりません。すべての基本的なビジネス会話・ビジネス文書は中学英語でこなすことができます。これを鍛える方法は簡単です。(方法が簡単ということであって、習得はそんなに簡単ではありませんが、自己鍛錬です。何であれ安易な方法はありません)
 電車の中や歩いている時でもどこでも出来る方法です。昨日の1日を英語で日記にするのです。書かずに頭の中で英文にしていくのです。要するに英作文です。歩きながらやるわけですから、辞書をひきません。スマホもダメです。そうなると、自分が知っている語彙の中から英文を作らざるを得ません。それが狙いです。知っているやさしい単語を使って、あらゆる事柄を英語で表現する技術が身につきます。
 たとえば、こうです。
 「昨晩は夕食に鮪納豆を食べました。」これを頭の中で英語にするのです。「鮪納豆」をそのまま「tuna natto」などと言っても通じませんから、これを噛み砕いた英語にするのです。しかも、中学生の英語です。ここで、「醗酵した大豆」などと考えないほうがいいです。それは、難しい用語を辞書で捜して使っても、その単語を相手が知らなければ通じないからです。会話が成立しないのです。特に、英語の場合には、英語が自国語ではない人が使うケースのほうが多いわけですから、あまり難しい単語を使っても相手が知らないことが多いのです。なので、「目に見えない小さい生物によって作られた、特別な風味を持った日本のローカルフード」というように噛み砕いて、それを英語で作文していくのです。これを毎日少しずつやっていると、想像以上に英作文の力がついて行きます。

 さて一方で、発音はまったく考慮する必要はありません。
 いま、世界で最も注目を集めている2人の日本人の英語での記者会見をテレビで見て、私はこの考えが正しいことを確信しました。その2人とは、日銀総裁の黒田さんと、ⅰPS細胞でノーベル賞を受賞した山中教授です。
 お2人とも、まったくもって片仮名棒読みの英語です。ジャパニーズ・イングリッシュ丸出しです。ジス・イズ・ア・ペン!そのものです。(YouTubeで見てください)
 それなのに、世界中の新聞記者や最先端の学者や研究者がこの2人の話しを聞き、また熱心に質問しています。それは、中身があるからです。しゃべる内容が濃いから、ほかでは聞けないからです。
 要するに、外国人が(聞き手が、と言ってもいいでしょう)求めているのは、「中身」なのです。どのような内容をこつがしゃべるのか?ということが問題なのであって、どのような発音なのかということは全く興味の対象ではないのです。偶然、母国語のように発音ができたとしても、「あ、そう」という程度であって、偉くも何とも思ってもらえません。なぜなら、そのように発音できる人間は、イギリスやアメリカに行けば、それこそ乞食から泥棒まで掃いて捨てるほどいるのですから。
 そうです、発音がいわゆる「ネイティブ」のようだからといって、価値が上がることは一切ないと断言しておきます。発音発音と言っている人に出会ったら、いまの乞食と泥棒の例を思い出してください。そして、発音にこだわる人に憐れみの目を向けてあげましょう。
 これであなたも本当の国際人です。自信を持ってください!

日本ジェノス株式会社
代表取締役  上野 善久

0 件のコメント:

コメントを投稿