“情報リテラシー”などと言うと、何か特別な訓練を積まないと習得できない様なイメージを持つ人がいるかも知れませんが、そんなことはないと思います。一部の専門家が使うテキストマイニングの様な特殊な技法は別にして、情報の受け手として標準レベルの一般常識と少しの批判的な視点が有れば十分だと思います。
今、この情報リテラシーは仕事をしてゆく上で欠かせないものになっています。世の中どの分野でも情報が溢れています。その信頼性もまちまちです。私が思うに、それなりに信用できると思える情報でも、その殆どが“帯に短し襷に長し”で即使える情報ではありません。
情報を発信する側は色々な制約下で不特定多数を相手にしている場合が殆どで、受け手の側も、人によって必要な情報の種類も程度も違いますから当然と言えば当然です。要は受け手の側が情報を選別、補充、明確化しなければならないということでしょう。それが「情報を有効に使う」ための前提だと思います。
一つ例を出しましょう。
“民法改正”の話、最近になって情報量が増えてきました。「120年ぶりの大改正」などと言われていますが、今年の4月1日の某新聞社(全国紙)のネット記事で
~「中小企業が融資を受ける際に求められる連帯保証。軽い気持ちで引き受けた結果、金融機関から返済を求められ、悲惨な結末を迎えることも。改正法案では第三者が保証人になる場合、公正証書の作成を義務づけることで保護を図る」~とありました。
発信元は全国紙ですから信頼性は問題ないと思いますが、なんだか漠然とした情報ですね。民法はあらゆるビジネスに関係していますから、ビジネスパーソンが「へぇ~そうなんだ」とそのまま鵜呑みにするのは情報リテラシーとして“?”ですね。そのビジネスパーソンが販売会社の人だと「では、当社が新規先と取引契約を締結する時、取引先の保証人が第三者の場合は公正人役場に出向いて公正証書を作らないといけなくなるな。しかし、その時間とかコスト、手間を考えると実際には第三者の保証は取れないな」という思考になるかもしれません。
こういう場合、もう少し批判的(クリティカル)に見た方が良いと思います。例えば「あらゆる保証契約に適用されるのかな? 実際の法案にはどう書いてあるのだろう?」とか・・・・・・
信頼できる発信元の情報を選別して入手し、その情報を先のネット記事情報に補充し、そして判断し、明確にする。ということで、実際の法案を見てみると「事業のための貸金等債務または事業のための貸金等債務を含む契約の保証人になる場合は、公正証書で保証意思を表示しなければ効力を生じない」(抜粋・要約)となっています。つまり商品の売買契約は対象外ということが明確になりました。
さて、このブログ記事も一つの情報です。就活生の皆さんも批判的な視点でツッコミを入れてみて下さい。
【余談】
民法改正案は今年の3月31日に閣議決定され、同日衆議院に提出されました。次は衆議院法務委員会での審議ですが、進んでいるのでしょうか? やはり、今国会は集団的自衛権がらみの安保関連法案が優先でしょうか? 会期は6月24日までで、それを8月10日まで延長しようと話し合っているとのことですが、「約200項目に及ぶ大改正」と言われている改正民法は今国会で成立するのでしょうか? 成立したとしても施行日はいつになるのでしょうか、政令や省令は、いつ、どのようなものが出されるのか。私の仕事に直接関係しますので、しっかりウォッチしてゆきたいと思います。
ジェノスグループ株式会社
営業本部債権管理部長 村下 肇
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