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2015年2月27日金曜日

酒屋の親父の豆知識


皆さんは六甲山という山の名前を御存じでしょうか。
(プロ野球阪神タイガースの六甲おろしなどで唄われますが)
 
この山の地層は、カルシュウムやリンなどを多量に含んでおり、降りそそいだ雨水は何十年もの長い年月をかけ、これらの成分を取り込み、再び湧き水として地表に現れる場所が神戸市灘区です。この湧水ポイントを灘目といいます。
この湧き水(伏流水と呼びます)で仕込まれた酒は、辛口の男酒として大人気になりました。日本酒の大手蔵がこの地に多いのは、伏流水の水脈が要だからです。
当時、灘目を持った農家はただの水を高い値で売ることからやっかまれ、水商売と呼ばれる言葉も生まれました。

 
江戸時代、秋に仕込み厳冬の頃、一番に搾られた清酒は、まず京都におられた天皇家に献上されました。同時に海路を使い、江戸におられた徳川幕府の将軍にも届けられました。京都に天皇がおられたことから関西地域を上方と呼ぶのはこのためです。上方を出発地として、これら価値のある品を運ぶ船を下り船と呼び、この下り船に積み込まれた商品は“下り物”と呼ばれ地方で高級品の代名詞になりました。
 流通機能が未成熟の時代ですから、運賃も高く、大手流通業の回船問屋は今も商社として君臨していますよね。

高級品だけが下り荷として扱われ、ありふれた商品、付加価値の低い商品はこの下り船に載せる事はありません。“下り荷にならない荷物”から“くだらない”の言葉が生まれました。
 

“灘の生一本”で大儲けした酒蔵の蔵元は、その利益を将来のため教育につぎ込みました。全国から、金に糸目をつけず、優秀な教師を雇い入れ、設備を整えた上で開学した学校が灘高校です。今でも灘高の理事長は酒蔵の社長さんが就任されます。また「正宗」の名前が付くお酒が多いのも、某蔵元の社長さんが、良い名前を付けて頂こうとある高僧にお願いに伺った際、手にした般若心経から、清酒(せいしゅ)がせいしゅう(正宗)に繋がることから読み方を変え、マサムネの名前を思いつきました。俗説の“切れ味が鋭い”の意を込め日本刀の正宗から採ったという説は眉つばと思います。

 

 もう一つお酒にまつわるお話を。宴席で「お流れ頂戴!」などと返盃をする習慣は昔話になりましたが、自分が口をつけた盃を相手に渡すのは失礼です。
 軽く水で洗い懐紙で拭き、渡すのが作法です。正式な宴席では隣のお膳との間に水の入った陶器壺が置いてあります。(フィンガーボールなどと間違えないで下さいね。)「親子水いらず」とか「夫婦水いらず」など杯洗の必要が無い間柄の場合に“水いらず”という言葉が使われ出しました。

 そこから転じ、貴方に対し、身内と同じように接しましょうとの気持ちを込め「水入らず」すなわち杯洗なしで盃をお返し下さいという気持ちから“返盃”や“お流れ頂戴”などの儀式が生まれました。
“水いらず”という言葉は、強い信頼関係を結びたいと願う時に使われるようになったのです。
 
 
 私達の会社と水いらずの関係を結びませんか。ではまた。
 
 

株式会社宇佐見商店
代表取締役  宇佐見 透

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