このブログを検索

2015年7月6日月曜日

カッコ(格好)良さ

 今回は肩の凝らない理屈抜きの話を……

 誰でもあると思います。単なるルックスではなく、人の“姿”や“動作”を見て「カッコイイ」と思うこと。
 トップスピードのドリブルで相手ディフェンダーをスルスルとかわしてゆくメッシ、キレ味鋭い高速スライダーで三振を取るダルビッシュ(今シーズンは肘の手術をしてお休みですが)、レーザービームでランナーをアウトにして淡々とベンチに引き揚げてくるイチロー、などなど……カッコイイですよね。
 「人はどうしてカッコイイと思うのだろうか」(脳科学的&心理学的考察)という面倒な話は止めておきましょう。(話をしても、どうせ請け売りですから)

 話は変わります。
 世界最大の航空リサーチコンサルティング会社スカイトラックス(英国)が“世界一清潔な空港”に2年連続(2013、2014)で選んだ所って知っていますか? そう羽田です。
 それを支えている清掃員は約500人とのこと。その中のトップは45歳の女性です。この女性が、先日のNHK“プロフェッショナル 仕事の流儀”という番組で取り上げられていました。お名前は新津春子さん。見る限り“普通のオバサン”(失礼)。新津さんのお父さんは中国残留孤児、お母さんは中国人、新津さん自身は17歳で中国から日本に、日本語は全くできなかったそうです。やっと雇ってもらえた仕事が清掃で、それは「言葉が分からなくてもできる」仕事だったから。しかしこの方は、逆境の中で選ばざるを得なかった清掃という仕事を決してないがしろにせず、腕を磨き続け、10年経って清掃技能選手権で最年少日本一に輝き、今では80種類以上の洗剤を使い分け、メーカーと共同で掃除用ブラシを開発するほどだそうです。
 こんな映像が番組内で紹介されていました。多くの人が行き交う羽田空港のロビー、そのロビーに通行の邪魔にならないようモップ片手に佇む新津さん。どう見てもピカピカの床にしか見えない。でも新津さん、なぜか中腰の姿勢でロビー全体の床を見渡している。すると、ツカツカと歩いて行って床を拭きだした。新津さんには見えるそうです、床から埃が舞い上がっている箇所が……。赤ちゃんやアレルギーを持つ人への影響を考えてのことだそうです。
 カッコイイですね。床を見渡している新津さんの表情や醸し出す雰囲気は、メジャーリーグの強打者と対峙しているダルビッシュと同じ次元に感じられました。そりゃ新津さん“世界一”の立役者ですからね。こうなると“普通のオバサン”などと言えないですね。
 番組スタッフの質問「プロフェッショナルとは?」 新津さんの答「目標を持って日々努力し、どんな仕事でも心を込めてできる人」 飾り気の無い言葉がまたカッコイイです。この方が言うと、そのプロフィールとあいまって本当に説得力が有ります。この方は、賞を取りたいとか偉くなりたいとか、いわゆる功名心みたいなものは無いようです。

 多くの人が憧れるプロスポーツのスター選手、それに対して、殆どの人が積極的に選ばないであろう清掃という仕事、でも、同じぐらいカッコよく見えました。
 本当の“格好良さ”は、その人が自らの努力で技や能力を磨きあげ、常人では到底及ばない域に達したから見せられるものであり、職業や勤めている会社の規模の大小・知名度など、いわゆる“外形”は関係無いと改めて思い知らされた時間でした。


 ジェノスグループ株式会社
 営業本部 債権管理部長 村下 肇

0 件のコメント:

コメントを投稿