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2015年9月19日土曜日

秋の夜長に・・・

秋ですね。食欲の秋・スポーツの秋・アンジェラアキ。

というわけで、読書の秋に私がお薦めの一冊。。

広瀬正 著 『マイナス・ゼロ』(集英社文庫)

舞台は太平洋戦争末期と東京オリンピック直前(昭和38年)の東京、そして昭和7年の東京。空襲で死亡した隣に住む先生との約束を守るためにある家を訪問した主人公は、そこでその先生の娘と18年ぶりに再会、モンペに防空頭巾という格好で年齢も当時のままにしか見えないことに疑問を感じ実は・・・・・というのが発端で、タイムマシンを利用して過去に遡った主人公が思わぬトラブルにという展開のお話です。

詳細に綴られた昭和初期の東京銀座の様子や当時の風俗は作者自身の当時の東京に対するノスタルジーであり、一瞬登場する小学生の頃の作者本人は、自分の映画にワンカットだけ登場するヒッチコック監督のようでニヤリとさせられます。

作者は、47歳で亡くなっており、またSFが日本では不遇をかこっていた時代でもあり、作品はわずか6冊しかありませんが、もっと色々書いてくれていたらなぁと思います。
短編の「化石の街」という自分だけ周りの世界と時間の進行速度が違う話も印象的。

同じ作者の『エロス』という作品(タイトルと違ってエッチな話じゃないですよ)は現実の過去と、あったかもしれないもう一つの過去のお話で、これまた最後にあっと驚く為五郎なストーリーなんですが、ある場面で『マイナス・ゼロ』の登場人物がちらっと出てくるんですねぇ。合わせてお読みいただければ。

日本ジェノス株式会社
総務部 河村 行彦

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